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東風解凍(はるかぜこおりとく)


ほころび始めた梅のつぼみに、春のきざしが感じられる時節となりましたがみなさまいかがお過ごしでしょうか。

今年もおかげ様で新しい佳き年を迎えることができました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

|| 厳しい寒さを乗り越え

▲2022年12月24日 天河神社



今年の冬は例年になく久しぶりに多く雪が降りました。冬の初めはまだまだお昼は「温いな〜」と言っていたのが懐かしいほど、厳しい冬の寒さに身が引き締まる思いでいました。


▲2023年2月3日 天河神社



その後立春を迎え、天川にもようやく少しずつ春の訪れを感じるようになりました。

|| 東風解凍(はるかぜこおりとく)


五行思想より春の方位は「」と尊ばれ、東風を”はるかぜ”と呼称しますが、天川でもまだ寒さは感じるものの、だんだんと気温も上がり初め、厚い氷や雪を溶かしはじめました。


2月中旬になった今ではすっかり雪もほとんど溶けましたが、厳しい冬の寒さにも耐え忍び、ようやく訪れる麗かな春の訪れは大地も樹木もみな心待ちにしていたのではないでしょうか。


|| しんしんと



▲2022年12月24日 船岡山


船岡山に目を向けると、葉に留まっていた暖かな陽の光が消え隠れしたかように、真っ白に雪化粧され”静寂さ”を物語ってるかのようでした。



▲2023年2月3日



森閑とした中に身を置いていると心も自ずと澄み渡ってくる、そんな静寂さが心地よかったこの冬も、耳を澄ましていると、春の訪れとともに少しずつ山からも微かながら、賑わいの音が伝わってくるように感じます。


|| はじめての越冬



船岡山に植樹した苗木は、はじめてのこの土壌での越冬しました。



雪に埋もれてしまうほどまだ高さが低い苗木もありますが、雪や寒さで完全に倒れてしまった苗木はなさそうです。


冬至を境にほんの少しずつ日照時間も増え、太陽の光とのふれあいが増えてきているのを感じているのでしょう。 冬の間に籠めていたものが日毎に膨らみ、まだまだ愛らしい小さな芽吹きも垣間見えます。

|| 雪山には足跡が

船岡山から、今回植樹する予定の寺峰山の方へは橋を渡って回遊ができます。




橋を渡ると最初に見えるのは、去年、天川村の小学生たちが植樹してくれた苗木があります。

この苗木たちもしっかりとこの冬を越えてくれたようです。(よかったです*)



そして、寺峰山の方へと足を運ぶと、足元には小さな足跡がてんてんと。

手の拳ぐらいの大きさの足跡が一直線に並んでいました。


二匹いたのでしょうか、それとも一匹だけだったのでしょうか。左に移動した形跡もありますし、そのまま前へと進んでいる形跡も。



足跡を追いかけるようにそのまま進むと、栗の皮だけがたくさん落ちていました。

この寺峰山の手前に、一本の大きな栗の木がまだあります。



秋になるとたくさんの栗の実を落としていますが、冬に入る前にはほとんど同じように空だったような気がするので・・この冬の間にこの栗の実を実際に食べられたかはわかりません・・。



ただ栗の皮の近くには糞があったので、少しでも食べられたのでしょうか・・。

また、足跡の形とこの糞から、この動物が「鹿」であったというのがはっきりわかりましたね。

寒い冬の中で食べるものが身近になく山奥から降りてきざるをえない、なおかつ、降りてきても食べられる物もろくにあまりない・・というのはかわいそうにと憐れみの感情がでる一方、そのように仕向けさせてしまっているのも人間の業によるものであるという深い詫びの気持ちも。ただ、防鹿柵を乗り越えてまでくるこの鹿さん等に苗木が傷つけられないかと危惧する思いも交錯し、複雑な感情になってしまいます。

※鹿の問題は以前も「鹿と人間と」という記事の中でもお伝えさせていただきました。引き続き、考えていかなければならない課題であると思っています。

|| 畑の苗木も


今年の3月に寺峰山に植樹する予定の苗木たちも、畑ですくすくと成長しています。雪に覆いかぶさりながらも、しっかり根を生やし、しっかりと枝を伸ばしてくれています。


丹念に育ててきたこれら苗木たちをこの寺峰山の斜面へと植樹されます。

この苗木たちが5年後、10年後、そして100年後にはこの斜面いっぱいに大きく成長し、春から夏には麗かな青葉で、そして秋になると錦色に染まる紅葉の景観へと、大きく成長してくれることに思いを馳せるばかりです。


〜今日の一枚〜


▲我々が住まう坪内には天河神社が中央に鎮座しておられます。

今年の節分では多くの参詣者もお集まりいただき、「節分祭」が神社にて執り行われました。

長い歴史があるこの神社では、神仏習合が現存し、3日の節分祭では神職が行者となり護摩焚き神事も行われます。しかし、この地の歴史の長さを感じるのは、特にこの節分祭の前日に行われる「鬼の宿神事」であります。 これは、天河社社家は役行者と供に祀られている前鬼、後鬼の子孫と言い伝えられているため、節分(2月3日)の前の晩に、『鬼の宿』として、鬼(神)を迎える、という神事があります。

そのため、ここ天川では「鬼はうち、福はうち」と唱えますが、ここからもこの地には何百年、いや何千年という長い歴史の中に古の方達の魂が残り、受け継がれていることへ毎回胸が揺さぶられます。

そして、同時にこの長い歴史の中に、こうして多くの皆さまと一緒に、共に、次世代へ紡ぐ一端を担うことができることに喜びも感じております。


※天河神社のHPにて、この「鬼の宿」の神事の様子を写真でご覧いただけます。(こちら


 

〜お知らせ〜


天河神社と一般社団法人天河斎庭共催で来たる2023年3月25日(土)に植樹祭を執り行います。 みなさまのご参加を心よりお待ちしております。 →植樹祭については「こちら」をご覧ください。


 



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