「木の命」「私たちの命」を守る林業

こんばんは!

温かな応援メッセージに、そしてご支援を引き続き賜り誠にありがとうございます!いよいよ残り8日をきりました。



ここ天河坪内の里はまた雪が降り、船岡山もすっかり雪化粧に染まっています。この冬景色もあと幾ばくか。 名残惜しいですが、こうしてまた春へと景色がうつろう過程も愛しみたいです。

さて、今日は林業についてご紹介させていただきます。



|| 「斎庭」の結成の背景


▲伐採した後の船岡山(当時)



我々「斎庭」が結成された背景には、プロジェクトページ内に記載させていただきましたとおり、船岡山の一部を伐採して一見“はげ山”にも見えるような状態になってしまったのを憂い、その区画の部分に代表の西岡が一人で植樹を始めたのが背景にあります。



|| 住家に危険が

こうしてこの区画の桧を伐採したのも、船岡山の麓は住家が隣接しており、強い台風等の雨風の影響等で倒れてしまうと、住家を倒壊させる危険等がでてきたため、危険木と判断したからです。



▲2015年11月作業当時。このように、船岡山の麓には隣接して住家があります。



▲木を伐る際も、倒れる向きが少しでも間違えると家屋倒壊にも繋がる大惨事にもなるため、大変神経をつかう作業だったそうです。



▲「斎庭」代表の二人も木を伐るなど、中心的に作業を行っておりました。

|| なぜ危険木になってしまったのか

そもそも、戦中戦後の混乱期の建設資材や燃料の不足を補うため、国主導の拡大造林によって広葉樹から杉や檜の針葉樹に転換されていった経緯があります。 ​​

その後、戦後の高度経済成長期の流れもあり、この地も林業により生業を得る人々が多く生活する様になり活況を呈しました。しかし、時代は束の間。木々の成長と共に仕事量が減り、また、日本人の家に対するニーズが変わり建築工法の変化や外国産材の輸入増加等国産材は需要と価格が減少し、林業は産業として成り立たなくなり、坪内のまわりの山々も、残念ながら、ほぼ手つかずの放置林となってしまっていました。

その結果、放置された森林では山の地盤も緩みやすくなり、紀伊半島豪雨災害をはじめ地滑り災害等がこの地で発生も。






|| では、林業とは?

林業とは、木を育て、森を作り、育った木を切って売る産業全般をさします。

売られた木は、建築材料や家具などに利用されており現代の暮らしでもなお欠かせない製品などの一部になっていますが、一方で、適切に管理された森林は土壌の流出を防いだり、雨水を貯水して洪水を防ぐなど、森林環境の維持、保持をも担う社会公共性の面もある産業になります。

​​|| 木を育てる

また、「木を育てる」と一言で言っても、その過程には様々な作業があります。



1:間伐(かんばつ)

 

  木の根元に太陽の光がきちんと届くように日射量を調整するため、「木を間引き」することです。



2:枝打ち



  1. これは、育った樹木の枝を付け根から伐り落とす作業です。

​​|| 木の成長のため、そして、自然災害防止のため

上記「間伐」「枝打ち」は、共通して"成長促進"が目的になります。



▲2020年夏の船岡山


というのも、樹木が大きく成長してくると、隣どうしで枝葉が重なりあうようになってしまい、それ以上枝・葉を広げることが難しくなり、お互いに成長を阻害してしいきます。



▲間伐することで、一本一本の樹木が適度な間隔を保ちながら成長していくことができ、また、太陽光が木の根本や地面にまで多く降り注ぐようになり、健全に樹木が成長していけるのです。また、その結果、木の下の地面にも色々な植生が生え、土壌が豊かになり、大雨の時に表土(ひょうど)の流出を抑えることができるなど、自然災害を防ぐことにもつながります。ます。



▲今回のプロジェクトで伐採する区画の船尾山の山肌です。このように、太陽がでている晴れ間でも間伐や枝打ち等の手入れができていないと、地面は暗く下草も生えず、土があらわに。​


▲一方で、伐採後、植樹をした区画の船岡山の山肌にはこのように下草がたくさん生えてきました。同じ地表とは思えないほど。太陽の光がどれだけ必要なのかがよくわかります。

​​|| 木を売って終わりではない

林業は、上記の他に、伐採した後の地表を枝葉や雑草などを除去して苗木を育てるために整備する「地ごしらえ」や、その跡地に苗木を植えていく「植樹」活動、そして、苗木にもきちんと太陽の光があたるように雑草等を刈り取る「下刈」作業など。


▲これも船岡山に先に植樹した苗木ですが、下草がたくさん生えたので、逆に苗木に光があたらなくなってしまい埋もれてしまうので、この下草を刈るのが「下刈り」という作業になります。ある程度苗木がきちんと成長するまではこのように成長を見守り手間をかけて育てていきます。

林業というのは、モノを作って終わりというような単純な作業ではなく、また同時に、自分たちの利益だけを追求すると森の消滅にも通じ、「木の命」そして「私たちの命」それぞれを守り、そして育み、見守ってくれる大変高尚な仕事であると言っても過言ではないでしょう。

​​|| 知ってもらうことも大きな一歩

今回こうして私たちが船岡山をきっかけに取り組む背景の大元には「林業の衰退」により手をかけられずに放置林となり実際に自然災害にも見舞われ、色々と気付かされ「このままではあかんやろ、どないぞせんなあかんにゃ!(天川弁)」と、こうして活動に取り組むことになりましたが、言うは易く行うは難しで、これもまた時代背景や様々な要因等も絡み、この地に限らず日本全国の山林においても大きな課題であります。

そうした中、こうして林業の衰退や不況という厳しいといわれている中でも、こうして山や森を守ってくれていると言っても過言ではない林業関係者の皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。

我々もこの天河の坪内の里の中でできることからひとつひとつ始めてまいりますが、都市化やデジタル化が進み「山」や「森」が暮らしのなかで乖離している時代において、1人でも多くの方が関心・興味をもち、まずは知ってもらう、それだけでも、大きな一歩前進になると信じています。

~今日の一枚~


▲2020年8月、毎日新聞の取材をうけた際の一コマ。2011年の紀伊半島豪雨災害の状況を説明している代表二人。語り継ぐ必要があるのと同時に、二度とあの悲惨な被害は起こさないようにと誓い。